PLCの概要
PLCとは?
PLC (Programmable Logic Controller) は、工場や設備の自動化を行うための専用コンピュータです。有接点リレーやタイマーなどの電気制御機器を置き換える目的で開発され、現在では製造業やインフラ設備など、幅広い分野で使用されています。工場に設置されている自動機械の多くがPLCで制御されています。
PLCは、次の順番で動作します。
- センサーやスイッチの入力を受け取ります。
- プログラムに従って処理を行います。
- モーターやランプなどの出力を制御します。
PLCは、作業員などが機械への指示を行ったり、状況の確認を行うために、タッチパネルと呼ばれるユーザーインタフェース (HMI: Human Machine Interface) と接続されていることが多いです。
PLCの歴史
- 1968年:アメリカのGM(ゼネラルモーターズ)が、機械の制御に使われていたリレー回路の置き換えを目的に、初のPLC「Modicon 084」を導入
- 1970年代:各社がPLCの開発を開始し、日本では三菱電機、オムロンなど電気(電機)メーカーが参入
- 1980年代以降:マイクロプロセッサの進化により、処理能力や通信機能が向上
- 現在:IoT (Internet of Things) やIndustry 4.0の流れの中で、PLCはセンサーやクラウドと連携し、スマートファクトリーの中核を担う存在
PLCの特徴
- 高い信頼性:24時間稼働する工場で安定して動作
- リアルタイム制御:ミリ秒単位の制御が可能
- 耐環境性:高温・湿度・ノイズなどの過酷な環境でも動作
- プログラム変更が容易:ラダー図などで視覚的に制御ロジックを記述
1970年~1980年代は、マイクロコンピュータ(通称「マイコン」)を搭載したマイコンボードが多く使用されていました。マイコンボードはC言語で作成したプログラムで機械を制御します。工場の現場では、「自動機械を現場の職人がメンテナンスしたい」「簡単な回収は自分たちで行いたい」などのニーズがありましたが、C言語を理解して改修や機能を追加することは、容易ではありませんでした。
PLCは入出力の配線の理解と作業が容易で、少し勉強すればドライバーだけで簡単にスイッチやランプの増設ができます。ラダー言語も習得が容易であったことから、急速に普及しました。今では、工場で動いている多くの機械がPLCで制御されています。
PLCが苦手とする処理(非常に高速な処理、画像処理など)は、ボードコンピュータと呼ばれる製品が使用されます。しかし、PLCの機能と性能が年々向上しており、両者の差は小さくなっています。
PLCの構成要素
- CPUユニット:CPUやメモリを搭載し制御プログラムを実行
- 入力ユニット:センサーやスイッチからの信号を受け取
- 出力ユニット:モーターやランプなどを制御
- 通信ユニット:他のPLCやパソコン、タッチパネルと接続
- 電源ユニット:PLC全体に電力を供給
ユニットごとに構成を選択できるビルディングブロックタイプと、1つの筐体に収めることで、安価で使いやすくしたパッケージタイプがあります。
ビルディングブロックタイプはベースと呼ばれる機器にユニットを装着します。各ユニットはベースを通して高速な通信を行うことができます。
ベースは規格品なので、無駄なスペースが発生することがあります。省スペース化のために、ベースを持たなくても高速な処理が可能な製品も増えています。
パッケージタイプも、1つのパッケージで入出力点数が不足する場合や、モータの位置決め機能など高度な機能が必要な場合は、コネクタ接続で増設することができます。
代表的なメーカーと製品
- 三菱電機(FXシリーズ、iQシリーズ) シーケンサと呼んでいます。
- オムロン(CPシリーズ、NJシリーズ)
- キーエンス(KVシリーズ)
- Siemens(S7シリーズ)
- Rockwell Automation(Allen-Bradley)
ラダー図
PLCで使えるプログラミング言語は複数あります。その中で、ラダー図 (Ladder Diagram) が多く使用されています。IEC61131-3では、ラダー図、ファンクションブロック図、ST言語、SFC図などが規格化されています。
しかし、言語が各社で拡張されていること、各社ごとに開発ツールが異なること、バイナリコードの仕様が規格化されていないため、他社へのリプレースは難しいのが現状です。
PLCを中心としたシステム構築
PLCは制御システムの頭脳です。入力となる触覚や視覚はセンサーが担当します。出力となる動きは、モータやエアーバルブを使用したソレノイドなどを使用します。近年は、ロボットを制御することも多くなってます。
生産システムの高度化により、入力と出力に求められる機能は高度化しています。最近のシステムは、CPUや専用の電子回路を搭載したセンサモジュールやモータドライバとPLCが通信を行い、高度な制御を行います。
製造現場の見える化として、ネットワークを使用して工場内で稼働しているPLCからデータを収集し、工場内や事務所などに情報を表示する(日本では「行燈(あんどん)」と呼ばれる)システムが普及しています。
センサー
接触型と非接触型があります。FA (Factory Automation) やPA (Process Automation) では、非接触型のセンサーが多く利用されています。
光電式センサーは、非接触型センサーの代表格です。
モータ
自動機で使用される、比較的小型で高性能なモータ(制御用モータ)と、中・大型の機械を駆動するモータ(動力用モータ)に分けられます。
制御用モータは、「ACサーボモータ」「ステッピングモータ」や「ブラシレスDCモータ」などがあります。
動力用モータは「三相誘導電動機」や「単相誘導電動機」があり、速度やトルクなどの制御を行うときは「インバータ」と呼ばれる装置を使用します。
仕事
工場用の自動機を制作する会社や、プラントを制御するシステムを制作する会社でPLCを使います。企業の規模や装置の生産個数によりますが、一人または小数人で機械設計とソフトウェア開発をすべて行う場合や、生産個数が多い場合や大規模なシステムの場合は、機構設計とソフトウェア設計の担当者が分かれて作業することもあります。
PLCは電気の力で機械を制御するため、電気電気、機械とソフトウェア(と最近はネットワーク)の幅広い知識が求められます。
通常、PLCは制御盤と呼ばれる箱に納められて機械に組み付けられたり、そのままで納品されたりします。
🔗オムロン Panel Solution 🔗日東工業 制御盤 🔗制御盤.com
工場やプラントの運転監視でSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)ソフトウェアが多く使用されています。
次のサイトは、制御システムの導入事例が掲載されています。
最近は、PLCをネットワークに接続して、データの収集を行う場面が増えています。また、生産計画を行うソフトウェアの生産スケジューラや、生産管理システム (MES: Manufacturing Execution System) からデータと接続して、自律的に生産を行うシステムなどがあります。
ニーズに合わせて、特注で自動機を設計・製作することも多くあります。このような機器を「一品もの」、「特注品」、「特機」など呼びます。
業務系のシステムと製造系のシステムは異なる用語、知識と経験が必要なため専業のSI(System Integrator)や、特化した製品を作る小規模事業所などが担当しています。